彼女との別れ 前編

 

「へー、こんなつくりのラブホテルなんて、珍しいね」

セーラー服姿の里美が部屋を見回しながら言った。

「へへへ、よくお似合いで」

後ろから鼻の下を伸ばした健太が、背後から彼女に抱きついて言う。

「やだちょっと、あたってるって」

美里は、お尻にこすり付けられる彼のモノをぺしっと叩き言った。

「もう、変態」

「いてて、変態はそっちだろう? いきなりラブホテルなんかに呼び出して」

 

2人がいるのはラブホテルの一室。

仕事の帰り、健太は美里「今から会えない?」といったメールを受け取り、今に至る。

「まさか、美里の方からさそってもらえるなんて」

「だから、そんなつもりで誘ったんじゃないって、何度も言ってるでしょう」

美里はくっついてくる健太を押しのけ言った。

「大体なんで私がこんな恰好しなきゃならないのよ」

彼女のセーラー服姿は彼がリクエストしたものだった。

「ばか、セーラー服は男の夢なんだぞ」

無意味に威張る素っ裸の健太。

美里はやれやれとため息をつく。

「そ・れ・よ・り・・・、早くしようよ」

美里は甘えた声で健太に言った。

「ごくっ」

健太はもじもじと体をくねらせ、おねだりする彼女のあまりの可愛らしさに、生唾を飲んだ。

「じゃあ、さっそく・・・」

彼は彼女にがばっと抱きついた。

「きゃあああ、変態!!!」

美里は力いっぱい彼の睾丸を蹴り上げた。

「うぐっ!!!」

あまりの激痛に、健太は股間を抑え崩れ落ち、丸くなった。

「ちょっと、一発で倒れないでよ。練習にならないじゃない」

手を腰に、情けないなあといった感じで美里は言う。

「なっ、なんてとこ、蹴り上げるんだよ」

健太は額に玉のような汗を溜め、息を切らせながら言った。

「だって約束じゃない・・・」

「だからって、こんなところを蹴るなんて・・・」

そう約束をしていた。

最近よく変質者に後を付けられるという美里、彼女はそれを健太に相談していた。

健太は警察に言った方がいいと言っていたが、つけられているという証拠がないから警察は動いてくれない、そう告げる美里。

思い悩んだ末、美里がこう切り出した。

「そうだ、私護身術をやる!」

健太はそれに賛成し、自らも協力するとの約束をした。

そしてその約束が、今日のこの時間である。